東京科学大学は、9月4日及び5日の2日間にわたり、本学にて、台湾国立成功大学(National Cheng Kung University:NCKU)と政府系研究機関である台湾半導体研究センター(Taiwan Semiconductor Research Institute: TSRI)とともに、半導体分野および医療分野におけるフォーラム(“NCKU and Science Tokyo Technical Forum Summer, 2025 ‐Advancing the Future through Semiconductor and Medical Innovation‐”)を開催しました。
これまで台湾国立成功大学と旧東京工業大学との間では、1997年に協力協定(MOU)が締結されて以来、半導体集積技術を軸とする分野で、両大学ならびに企業関係者を交えたフォーラムが毎年開催されて参りました。
昨年は、国際的な産学連携への発展を見据え、産学共創機構の主導のもと、本学・台湾国立成功大学・台湾半導体研究センターの三者による、半導体関連の産学連携を中心とした包括的MOUの締結へと結実しました。
斯様な背景を踏まえ、本フォーラムにおいては、半導体分野におけるこれまでの交流を継続・深化させるとともに、新たに台湾国立成功大学より医療分野での連携拡大のご要望を賜ったことを受け、医療イノベーション機構のご支援のもと、医工連携といった先端領域においても両大学の叡智を結集し、新たな連携を開始することを目的としています。
当日は、台湾国立成功大学ならびに台湾半導体研究センターより、Meng-Ru Shen(沈孟儒)学長をはじめとする執行部、医療・半導体分野ご専門の先生方を含む総勢23名の皆様にお越しいただきました。
9月4日には、大岡山キャンパスにおいて、医療分野および半導体分野全体を対象とした基調講演セッションを実施し、翌5日には、両分野それぞれの専門セッションを並行して開催いたしました。すなわち、医療分野のセッションは湯島キャンパスにて、半導体分野のセッションはすずかけ台キャンパスにて行い、2日間を通じて、本学の3つのキャンパスを舞台とする全学規模のフォーラムを実現することができました。
イベント開催レポート
9月4日(水)ワークショップ(大岡山キャンパス)

基調講演セッション
本セッションには、台湾側23名の皆様に加え、本学関係者及び本学と連携している企業の皆様を含め、約50名の方々にご参加頂きました。
本学の大竹尚登理事長からの挨拶に続き、President Meng-Ru Shen(沈孟儒)より開会のご挨拶を頂いた後、続けて、台湾の先生4名と本学の先生4名の方々に講演していただきました。

(講演1)
Vice Dean of College of Electrical Engineering and Computer Science & Founding Director of University-level Smart Sports CenterであるJenn-Jier Lien(連震杰)先生からは、“The Cloud Thinks, the Edge Acts: Computing for AI Robotics”と題して、AIを活用した医療用ロボットや自律移動ロボットに関する最新技術についてご説明いただきました。
(講演2)
Dean Professor of AISSM(“Academy of Innovative Semiconductor and Sustainable Manufacturing”)である Yan-Kuin Su(蘇炎坤)先生からは、“Development of Semiconductor Technology and Industry”と題して、これまでの半導体技術の発展と、今後の展望についてご説明いただきました。
(講演3)
本学の執行役副理事(総合戦略担当)・執行役副学長(研究・産学官連携担当)である古川哲史からは、“Medical Engineering Collaboration in Science Tokyo”と題して、これまで本学が進めてきた独自の医工連携を軸に講演いたしました。
(講演4)
本学の新産業創成研究院長である中村健太郎からは、“Quantitative evaluation of thin blood vessels through photoacoustics”と題して、医療分野への応用が期待される光音響法による血管評価技術を中心に紹介いたしました。

(講演5)
Dr. Ya-Ting Hsu(許雅婷)先生からは、“Leading the Bioelectronic Revolution: Convergent Technologies for Next-Generation Healthcare”と題して、バイオエレクトロニクスを活用した次世代ヘルスケアへの応用が見込まれる先端技術についてご説明いただきました。
(講演6)
本学の特任教授/ユニットリーダー(WOWアライアンス異種機能集積研究ユニット)大場隆之からは、“Toward a Sustainable and Connected Era of 3D Integration through Cross-Border Semiconductor Innovation”と題して、国際的な協力を基盤とした3D半導体集積技術の現状及び将来像について説明いたしました。
(講演7)
本学の特別顧問(国立研究開発法人産業技術総合研究所 量子・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)センター長)である益一哉先生からは、“The Agile Dynamic Era Powered by Semiconductors, Quantum and AI”と題して、アジャイル・ダイナミック時代 を牽引する半導体、量子・ AI及び国際的な大学連携の重要性を軸としてご説明いただきました。
(講演8)
Deputy Director General of TSRIであるYing-Zong Juang (莊英宗)先生からは、“Smart Sensing Heterogeneous Integration Platform”と題して、各種センサーと半導体回路を統合したスマートセンシング・プラットフォームについてご説明頂きました。

9月5日 医療系セッション(湯島キャンパス)・半導体系セッション(すずかけ台キャンパス)
医療系セッション(湯島キャンパス):近日公開予定
本イベントを通じて、台湾との共同研究テーマの立ち上げなど、半導体分野に加えて医療分野も含めた国際的な産学連携を推進するための第一歩を踏み出しました。
これを契機に、今後一層の連携強化を図り、その展開を力強く推し進めて参ります。
